防音室の吸音と残響時間
防音室の吸音性能と残響時間
楽器を奏でるのであれば必要なものは防音性能だけではありません。
例えば、打ちっぱなしのコンクリート壁に囲まれた中でトランペットを吹いた場合を想像してください。恐らく耳が痛くなり演奏どころではなくなるでしょう。
そう、楽器を演奏する目的であれば防音室には吸音性能と残響時間設計がかかせません。
これは、楽器本来の音色を引き出すために必要な事なのです。
コンサートホール | 0.20~0.23 |
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劇場・講堂 | 0.30 |
リスニングルーム | 0.25 |
音楽練習室 | 0.18~0.25 |
残響とは音源が止まった後、壁面の反射によって引き続き聞こえる音の響きの事で、残響時間(RT)として表せます。響きは長すぎても短すぎても良くなく、本来の音を引き出せません。 また残響時間は防音室の容積によっても変化しますので、使用する材料の平均吸音率で検討します。
声楽 | 0.15~0.18 |
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弦楽器 | 0.15~0.20 |
ピアノ | 0.19~0.24 |
打楽器 | 0.25~0.40 |
ホームシアター | 0.25~0.35 |
ピュアーオーディオ | 0.18~0.25 |
一般の洋室の場合は、平均吸音率が0.07~0.12程度でかなりライブ(響きが長い)傾向です。
防音室設計では使用する楽器及び使用者の好みにより、適切な残響時間を決定します。
残響時間を可変にして、練習方法に応じて調整する事も可能です。
防音室の音圧分布設計
一般の居室は容積が小さく、剛壁に囲まれているため、下図の様に部屋隅では音圧が最大となり易く音圧分布にムラが生じ、音楽には不適当(低音域)な環境にあります。 これは防音室でも同様です。
色の濃い部分が音圧の高いところです。
部屋の隅や中央部で音圧にムラがあることがわかります。
このような音圧分布を平準化するには、壁・天井に散乱体等を設置するか、部屋隅に低音域吸音体を設ける事で軽減化する事ができます。